夜の影
第23章 half brother
【和也side】
「お父さっ、ちっ、父には僕からちゃんと話します。ちゃんと揉めないようにします。それに、アナタのお母さんのことは親戚も皆知ってることだから。
父の子供なのは本当だし問題ないです。大丈夫ですから」
「…………」
どうしよう、何も言ってくれない。
やっぱり認知もされてないし、気後れするのかもしれない。
でも、普通に考えたら悪くない話だと思うんだ。
ウチの会社は一般の人にはそんなに有名ってわけでもないけど、テレビCMだって流れてるし、東京で暮らしてる人だったら大抵名前は知ってる筈。
跡取りになればこの先一生困らないで暮らせるのは、ちょっと考えればわかることだ。
大野さんは口にカラアゲを入れたまま、鼻から大きく息を吸い込むと、盛大に吐き出した。
視線を手元に向けると、ポテトをつまんでポンポンと上下に動かす。
僕の方を全く見ようとしない。
イライラしたような仕草に脇汗が滲んでくる。
「俺に何をして欲しいの?」
とりあえず話は聞いてくれそうだ。
だけど問題はここからなんだ。
だって僕は実際には何をするのか知らないんだから。
突っ込んで訊かれたら、あとはもうノリユキ兄さんに会ってもらうしかない。
大野さんの顔が見れなくて、下を向いた。
「あの、デートクラブってわかります? 多分そんな感じなんだけど、お客さんと出かけたり、その……場合によっては、泊まったり?」
「はぁ? ホストクラブか?」
「しーっ、大きな声を出さないでください。そうじゃなくて、詳しくはノリユキ兄さんと話して欲しいんだけど」
「無理だな」
「えっ?」
顔を上げた僕から、今度は大野さんが視線を逸らした。
「泊るってことは、その、ヤルんだろ?
俺ヤッたことないもん、無理だよ。彼女とか続いたためしがないし」
「あっ、そうなんだ。
あっ、そうじゃなくて、でも、相手は女の人じゃないから……」
言い難くてゴニョゴニョと尻すぼみになる。
駄目だ、ここで引いたら、もう他に頼める人が居ない。
サカモトさんの弟さんを探すんだ。
人助けなんだ。
「お父さっ、ちっ、父には僕からちゃんと話します。ちゃんと揉めないようにします。それに、アナタのお母さんのことは親戚も皆知ってることだから。
父の子供なのは本当だし問題ないです。大丈夫ですから」
「…………」
どうしよう、何も言ってくれない。
やっぱり認知もされてないし、気後れするのかもしれない。
でも、普通に考えたら悪くない話だと思うんだ。
ウチの会社は一般の人にはそんなに有名ってわけでもないけど、テレビCMだって流れてるし、東京で暮らしてる人だったら大抵名前は知ってる筈。
跡取りになればこの先一生困らないで暮らせるのは、ちょっと考えればわかることだ。
大野さんは口にカラアゲを入れたまま、鼻から大きく息を吸い込むと、盛大に吐き出した。
視線を手元に向けると、ポテトをつまんでポンポンと上下に動かす。
僕の方を全く見ようとしない。
イライラしたような仕草に脇汗が滲んでくる。
「俺に何をして欲しいの?」
とりあえず話は聞いてくれそうだ。
だけど問題はここからなんだ。
だって僕は実際には何をするのか知らないんだから。
突っ込んで訊かれたら、あとはもうノリユキ兄さんに会ってもらうしかない。
大野さんの顔が見れなくて、下を向いた。
「あの、デートクラブってわかります? 多分そんな感じなんだけど、お客さんと出かけたり、その……場合によっては、泊まったり?」
「はぁ? ホストクラブか?」
「しーっ、大きな声を出さないでください。そうじゃなくて、詳しくはノリユキ兄さんと話して欲しいんだけど」
「無理だな」
「えっ?」
顔を上げた僕から、今度は大野さんが視線を逸らした。
「泊るってことは、その、ヤルんだろ?
俺ヤッたことないもん、無理だよ。彼女とか続いたためしがないし」
「あっ、そうなんだ。
あっ、そうじゃなくて、でも、相手は女の人じゃないから……」
言い難くてゴニョゴニョと尻すぼみになる。
駄目だ、ここで引いたら、もう他に頼める人が居ない。
サカモトさんの弟さんを探すんだ。
人助けなんだ。