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夜の影

第37章 裏・返し2

【林視点】

「んっ……んんっ……」

出す寸前まで誘導しておいて静止され、アキラの腰が波打つ。

「イきたい?」

「んっ、う、んっ……」

「じゃぁ、もっと気持ち良くしてやる。
一番気持ちいいことをしてやるよ。
ほら、オネダリして。
上手に言えたらシてあげる」

パチンと指を鳴らしながら、指示を出して行く。
日頃のカンの悪さが嘘のように、剛の口からスラスラと言葉が出て来た。

先生のを見て覚えた、と言うが、本当だろうか。やはり剛と健は僕の目を盗んで情を交わしているのではないのか。



ああ、それにしても、この子の色気は堪らない。これなら幹部連中のお気に召すだろう。

家庭の事情がある子なら、居なくなっても単なる失踪で済む。子供と違い揉み消すのも容易い。

健の時は大変だったからな……。

ワインに酔ったのか、思考があちこちに分散する。

どうにも眠い。

年齢と共に剛の顔は精悍になって来た。
それに比べて40近い僕は、陳大人のことを嗤えない。

眠気を押し殺すように剛の顔を睨んでいた時、アキラが信じられないことを口にした。



「い、れ、て……」



剛が驚いた顔で僕に目配せをする。

「どこに?」

パチン。

「あ……こ、こ……繋、がり、たい……」

アキラの腰が動いて入口が露わになった。

「何を入れて欲しい?
もっと解るように言え。どうして欲しい?」

パチン。

剛が口調は変えないまま、僕の反応を横目で見る。

初物のアキラじゃなかったのか?

驚いてソファから立ち上がると一気に酔いが回った。
何もないところで躓き、無様に転ぶ。



「入れ、て……
揺、ら、して、よ……擦って……
い、っしょ、に、感、じ、て……」



甘く強請るアキラの声が続く。
やっぱり初めてじゃない!?

「ぐっ、陳大人は……」

初物は必ず未経験だと言っていたのに。

「どうっ、いう、こ、と……」

ああ、舌が回らない。
もしや、一服盛られた?
起き上がろうとするのに足が立たない。
靴が絨毯の上を滑るばかりだ。

儀式に必要な羊を用意出来なければ、僕の身が危うい。

「だま、され……」

目を閉じたまま、剛が続ける声を聞いた。

「上手だ。
ほら、望み通りにしてやる。入れるぞ」

パチン。



「あっ、あぁ、あんっ……」



アキラの嬌声が響いた。


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