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夜の影

第7章 Fallin'

【翔side】

サトシが入ってきた一瞬後に、世界から音が消えた。

躰 が割られる衝撃で、グッと息を詰めた次の瞬間。

今度は耳の奥で、物凄く高音のノイズが鳴り始める。

いくつも、いくつも聞こえて。

苦しくて、何が何だか分からない。



無理だって。

入んない。



「…………」

何か言われてるけど。

言葉として理解できない。



きっと、このノイズは。

脳の真ん中から聞こえてる。

だって音がいつまでも消えない。



押しても、押しても、俺の中に 入 っ て きて。

ああ、もう、意識が落ちる、と思った時。

動きが止まった。



「…………」



何か言われてる。

理解できないから、わかんない、って首を振った。

まだ、耳の奥では、キーンって高い音がしてて、聞き取れない。



わかんないよ。

わかるように言ってよ。



「ショウ、イイコだな…
もっと長く息して…」



やっと、日本語で聞こえた。



長く、息。



「俺のこと好きだろ?
言う通りにしな?」



好、き?



誰が、誰を?



「ぅ…ぁあ…」



躰 の中で何か動いてる。

ゆっくり出ていって。

苦しいのが楽になる。



でも、ホッとしたら。



「あ…」



また、入ってくる。



「ショウ」



だれ?



このニオイ、知ってる。



好い匂い。





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