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夜の影

第8章 素描

【智side】

本当は事務所詰めにも反対なのに、カズ本人が、アイツの仕事を手伝うと言ってきかなかった。

カズはアイツの甥にあたる。

カズの母親が、アイツのお姉さんで。
いろいろあって…。
亡くなった。

叔父と甥、二人の企みに加担する気は俺にはない。

復讐なんて、やめたらいいのに、と思ってる。



カズに言っても聞く耳を持たないから、今ではもう何も訊かないけど。

事が終わるまで、離れることも出来ない。

向こうはそう思ってないかもしれないが、今となってはカズは俺にはたった一人の肉親だ。

例え、半分だけの兄弟でも。



冷蔵庫を開けてみたけど、大したものも入ってないでやんの。

カズは日頃ちゃんと食ってんのかなぁ、と思いながら、面倒くさくなって、もう寝てしまうことにした。

チェストの上にあるライトの灯りを一番弱いので点けて、カーテンを閉める。

ネオンの光を浴びて、苦し気に頭を振ってたショウの顔が、記憶に残ってる。

お湯で濡らしたタオルで 全 身 を拭いてやってから、静かにベッドに入って。

少し前までは俺の下で揺れてた 躰 を、抱 きしめて眠った。



朝になって腕の中にあったかい 人 肌 があるのに気がついて。

自分が 抱 か れ る 方じゃない、ってことは、仕事じゃないな、とぼんやり思って。

これは誰だっけ?
と、背中を撫でながら考える。

同 衾 している相手が誰だかわからないなんて、いい加減、俺もスレてんなと思う。

目を閉じたまま、俺、また酔っぱらって誰か引っ張り込んだのか?って考えてたら、名前を呼ばれた。

ああ、そっか。

ショウだ。

コイツには名前をやったんだったな、と思い出して、抱 いてる頭に キ ス をした。







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