テキストサイズ

夜の影

第8章 素描

【智side】

ショウはまだ半分寝ぼけているような息遣いで、俺の首筋に顔をうずめてきた。

俺もまだ目が開けられない。

「ふふっ」

笑う気配がしたから、目を閉じたままで返事をする。

「…なんだよ、どした…?」

返事の代わりに、俺の 耳 朶 に 歯 を 立ててから 吸 い ついてきた。



ったく。

「くすぐったいよ…」

「んふっ」

漏らした声が弾んでいる。
気持ちが素直な奴は、これだから困る。

「サトシ…」

「うん、おはよ…
お前、あったかいから気持ちぃ…」

目を閉じたまま言ったら、短く キ ス された感触があった。



いいよ、俺もお前のことは気に入ったし。
あと数日のことだけど、最後まで、可愛がってやる。

その後は、お前が一人でどこまで行けるかだ。



無理やり目を開けて、ショウの額に触れる。

ちょっと熱いような気もしたけど、寝起きだからよくわからない。

様子見だな。



俺を見て嬉しそうに目を細めたショウの、腹の虫がきゅぅぅ、と鳴いた。

「ふふっ、俺も腹減った
とりあえず何か食うか
ショウ、起きる時はゆっくり動け」

言うと、腹が鳴って焦って照れてた顔が、今度は、何で?って不思議そうな表情に変わった。

ほんとに、こいつは考えてることが丸わかりだ。

「ふん、尻 に響くぞ」

面白いな、と思いながらからかってやると、顔をますます赤くして、俺を睨んだ。



今、ショウが俺をどう思ってるのか、自分も経験したから良く分かる。

俺は内心で苦い気持ちになるけど。
ショウは何も悪くない。

そういうものなんだ。



言葉を禁じられて、絶対に逆らえない状況で。

急所を 弄 ば れ、どうしようもない 羞 恥 に 晒されながら。

苦 痛 と 快 楽 を同時に与えられて。

馴らされていく。

「すりこみ」が起きる。

逆らえなくなる。







ストーリーメニュー

TOPTOPへ