闇に咲く花~王を愛した少年~
第1章 変身
女郎としての務めは、自分が良い気持ちになるより、相手(客)を良い気持ちにして極楽に送ってやらなければならないのだという。まだ客と寝たことのない彼女にはあくまでも想像の中でのことにしかすぎないが、正直、知らずに済むものなら、それに越したことはない。
初夜に必ず経験しなければならないという痛みもまた、彼女にとっては恐怖でしかなかった。
物想いに耽っている彼女の前で、前触れもなく両開きの戸が開く。彼女はハッとして面を上げた。再び戸が音もなく閉まり、淡い闇の中に一人の男の姿がほの白く浮かび上がっていた。
少女は唇をいっそう強く噛みしめる。あまりに強く噛みすぎたためか、口いっぱいに鉄錆びた味がひろがった。
ややあって、男が少し離れた前方に座るのが気配で判った。
不思議な男だった。燭台の灯りを極限まで落とした室内は薄い闇で満たされているというのに、男の身体からは圧倒的な存在感が放たれている。見たところ、男は長身ではなく、中肉中背で、体軀だけでいえば、町のどこにでも見かけるような男に見える。にも拘わらず、けして長身とはいえないその身体がやけに大きく感じられた。
暗がりの中でも男が自分をじいっと見つめているのが判る。ふいに男が動いた。つと少女に近づいたかと思うと、いきなり彼女の纏っているチョゴリの紐を解いた。
流石に少女は黒い瞳をまたたかせた。これでは女将の言っていたのとは随分と違う。まずは接吻の一つでもして、それから行為が始まるのだと、確か女将は話していなかったか。
が、男は彼女の戸惑いなど全く意に介さぬように手慣れた様子でチョゴリを脱がせると、更に下着も取った。その下には胸に布を巻いただけの無防備な状態になる。男はその布をも器用にするすると解き、直に彼女は上半身、一糸纏わぬ姿を晒すことになった。
「片膝を立てろ」
低い凄みのある声で命じられ、少女は言われるままに片膝を立てた。
男が今度は勢いよくチマをめくり上げた。すべらかな白い太股の間に手のひらを差し入れると、ぐっと力を込めて開かせる。たとえほの暗い室内であろうとも、その秘められた奥の狭間は真正面にいる男からは丸見えになっているだろう。
初夜に必ず経験しなければならないという痛みもまた、彼女にとっては恐怖でしかなかった。
物想いに耽っている彼女の前で、前触れもなく両開きの戸が開く。彼女はハッとして面を上げた。再び戸が音もなく閉まり、淡い闇の中に一人の男の姿がほの白く浮かび上がっていた。
少女は唇をいっそう強く噛みしめる。あまりに強く噛みすぎたためか、口いっぱいに鉄錆びた味がひろがった。
ややあって、男が少し離れた前方に座るのが気配で判った。
不思議な男だった。燭台の灯りを極限まで落とした室内は薄い闇で満たされているというのに、男の身体からは圧倒的な存在感が放たれている。見たところ、男は長身ではなく、中肉中背で、体軀だけでいえば、町のどこにでも見かけるような男に見える。にも拘わらず、けして長身とはいえないその身体がやけに大きく感じられた。
暗がりの中でも男が自分をじいっと見つめているのが判る。ふいに男が動いた。つと少女に近づいたかと思うと、いきなり彼女の纏っているチョゴリの紐を解いた。
流石に少女は黒い瞳をまたたかせた。これでは女将の言っていたのとは随分と違う。まずは接吻の一つでもして、それから行為が始まるのだと、確か女将は話していなかったか。
が、男は彼女の戸惑いなど全く意に介さぬように手慣れた様子でチョゴリを脱がせると、更に下着も取った。その下には胸に布を巻いただけの無防備な状態になる。男はその布をも器用にするすると解き、直に彼女は上半身、一糸纏わぬ姿を晒すことになった。
「片膝を立てろ」
低い凄みのある声で命じられ、少女は言われるままに片膝を立てた。
男が今度は勢いよくチマをめくり上げた。すべらかな白い太股の間に手のひらを差し入れると、ぐっと力を込めて開かせる。たとえほの暗い室内であろうとも、その秘められた奥の狭間は真正面にいる男からは丸見えになっているだろう。