
闇に咲く花~王を愛した少年~
第4章 露見
優しいあの方が権力や暴力で自分を意のままにするはずがない。あくまでも光宗を信じていたのだ。
手を伸ばしてきた光宗を見て、誠恵が悲鳴を上げた。
「そなたは予をそれほどまでに嫌うか」
光宗の双眸に昏い光が妖しく瞬く。
誠恵は夢中で扉を開けようとしたが、外から細工がしてあるのか、微動だにしない。
「誰か来て! 助け―」
懸命に小さな拳で戸を叩き続ける誠恵の背後から再び徳宗が襲いかかる。
業を煮やした光宗は先刻以上に容赦がなかった。背後から抱きしめた誠恵を突き飛ばすようにしてその場に押し倒すと、間髪を置かず上から覆い被さる。
荒々しい仕種でチョゴリの紐を解こうとするが、上手くゆかず、怒りに任せて引きちぎった。
「いや! 止めて。殿下、どうか、お許し下さい―」
焦らすつもりなんて毛頭なかった。
光宗の他に好きな男もいない。
最初から今まで、ずっと王だけを見つめ、恋い慕ってきたのに。領議政から課せられた〝任務〟と王への恋心の間でどれほど心揺れ、悩んできたことか。
「緑花、これでやっと予のものになるのだな」
うわ言めいて言う光宗の口調は熱を帯びている。
チョゴリを剥ぎ取られた次は、すぐに白い下着も脱がされた。
後は上半身は胸に詰め物をした上に巻いている布だけだ。相当何重にも巻いているから、易々と解けはしないが、それも時間の問題だ。
その気になれば、あっという間だろう。
第一、触れられれば、本物の胸とは違うこのはすぐに判る。
光宗は、真上から恍惚として誠恵の身体を眺めている。その蛇のような視線が胸にまとわりついていた。
「許してくれ、こんな形ででも想いを遂げねば、そなた恋しさのあまり予は気が狂うに違いない」
その一瞬、凶暴な手負いの獣の中に、傷ついた男の顔がかいま見えた。
「殿下、国王殿下。お願いです、どうか、どうか、許して下さい、お止め下さい」
誠恵は、このときとばかりに懸命に繰り返す。
欲望に歪んだ凶悪な表情が束の間、消えた。
素顔の光宗は哀しげに誠恵を見つめている。
手を伸ばしてきた光宗を見て、誠恵が悲鳴を上げた。
「そなたは予をそれほどまでに嫌うか」
光宗の双眸に昏い光が妖しく瞬く。
誠恵は夢中で扉を開けようとしたが、外から細工がしてあるのか、微動だにしない。
「誰か来て! 助け―」
懸命に小さな拳で戸を叩き続ける誠恵の背後から再び徳宗が襲いかかる。
業を煮やした光宗は先刻以上に容赦がなかった。背後から抱きしめた誠恵を突き飛ばすようにしてその場に押し倒すと、間髪を置かず上から覆い被さる。
荒々しい仕種でチョゴリの紐を解こうとするが、上手くゆかず、怒りに任せて引きちぎった。
「いや! 止めて。殿下、どうか、お許し下さい―」
焦らすつもりなんて毛頭なかった。
光宗の他に好きな男もいない。
最初から今まで、ずっと王だけを見つめ、恋い慕ってきたのに。領議政から課せられた〝任務〟と王への恋心の間でどれほど心揺れ、悩んできたことか。
「緑花、これでやっと予のものになるのだな」
うわ言めいて言う光宗の口調は熱を帯びている。
チョゴリを剥ぎ取られた次は、すぐに白い下着も脱がされた。
後は上半身は胸に詰め物をした上に巻いている布だけだ。相当何重にも巻いているから、易々と解けはしないが、それも時間の問題だ。
その気になれば、あっという間だろう。
第一、触れられれば、本物の胸とは違うこのはすぐに判る。
光宗は、真上から恍惚として誠恵の身体を眺めている。その蛇のような視線が胸にまとわりついていた。
「許してくれ、こんな形ででも想いを遂げねば、そなた恋しさのあまり予は気が狂うに違いない」
その一瞬、凶暴な手負いの獣の中に、傷ついた男の顔がかいま見えた。
「殿下、国王殿下。お願いです、どうか、どうか、許して下さい、お止め下さい」
誠恵は、このときとばかりに懸命に繰り返す。
欲望に歪んだ凶悪な表情が束の間、消えた。
素顔の光宗は哀しげに誠恵を見つめている。
