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OS短編集

第1章 ふりーず、からの

【智side】

玄関の鍵が開く音で、目が覚めた。

翔君が戻るまで起きて待っていようとソファに居たのに、いつの間にかウツラウツラと寝てしまったらしい。

25時を回ってる。

中途半端に閉めたカーテンの隙間から、月が見えた。

お月見、ってそろそろか?

なんか、いつのまにか秋だなぁ…。





Tシャツにパーカーを羽織ってたんだけと、ハーフパンツでは、そろそろ暖房が欲しい。

オイラはのろのろと体を起こして、開かない目をこすった。

いつもなら、鍵が開いた後は、スリッパの音がする筈なんだけど。

シーンとしてるってことは、まだ翔君は玄関に居るんだろう。



これは、切れたな……。



電池切れ、っていうか、アレだ、接続切れだ。

翔君は、忙しすぎて頭だけ高速回転すると、体が止まる。

通信速度に対して、データ容量が大き過ぎるんだろう。

オイラ、ぱそこんは良く知らないけど、ふりーず?ってやつ?

あの、画面の中央に〇が出て来て、くるくる回る的な?



そろそろ、やばいと思ってたんだよなぁ。



オイラのヨメは、元来真面目なうえに、自分を過信してるところがあるから。

更に、頑固者ときてる。

無駄に頭がいいから、考え過ぎるんだろう。

体が止まれば、心も止まるってのに。





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