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甘い鎖 ~アイツの愛という名の鎖に、縛られ続けたオレは……~

第2章 二人の関係

しかし両親の強い勧めで結局は…。

高等部に上がる時だってそうだ。そして生徒会入りも…。

「ふぅ…」

声は出さず、息だけ吐き出す。

いい加減、開放されたいと思う反面、光雅に大切にされることが心地良かったりもする。

でも本当に、高等部を卒業したらどうするんだろう?

この近くに大学はない。

電車で三十分も行けば、いくつかはある。

けれど光雅の偏差値を考えれば、都心の大学へ行った方が良いのは明らかだった。

そうなれば光雅はマンションから離れなければならなくなり、オレは…開放される。

さすがに大学までは口出ししないだろう。

大学に入ればきっと、光雅の関心だってオレ以外に向く。

…いや、向いてくれないと困るんだ。

悶々としているうちに、昼休み。

「は~あぁ…」

重く深いため息をつき、手ぶらで生徒会室に向かう。

生徒会室は特別教室棟の四階にある。

昼休みの時間、そこはオレと光雅の貸切となる。

「朝食は洋風だったから、昼食は和風にしてみたんだ」

三重箱を開けながら、隣に座る光雅は楽しそうだ。

中身はオレの好物ばかり入っている。

炊き込みご飯のおにぎりを食べながら、オレは疑問を問いかけてみた。

「なぁ、光雅。高等部卒業したら、どうするんだ?」

「う…ん。ちょっと悩んでいる」

珍しく歯切れ悪く、光雅は悩んでいた。

「進学先か? 光雅のレベルなら、都心の大学の方が良いよな?」

心が少し痛んだ。

側にいて欲しいと思う反面、開放を望むオレの矛盾した願いは、心を締め付ける。

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