甘い鎖 ~アイツの愛という名の鎖に、縛られ続けたオレは……~
第3章 二人、外では…
だから来たくなかったんだ。
オレは近くにいた男性店員に声をかけた。
「若者向けの男性服売り場ってどこ?」
「あっ、ご案内します」
さすがに上の息子だと知ると、店員達のオレを見る目も変わった。
コレもイヤなもんだ。
オレの価値なんて、こういうふうにしか示せないんだと言われているようで…。
「あっ、ボクも行くよ。それじゃあお二人とも、また後で」
「ああ」
「ええ、楽しんでね」
あくまでも光雅にだけ向けられた笑顔と言葉。
見なくたって分かるんだ。
オレは振り返らず、案内されるまま奥へ進む。
後から光雅もついて来た。
「こちらになります」
「案内ご苦労さま。後はこっちで好きにやるから、下がってて」
「畏まりました」
そして光雅はとっとと店員を下がらせた。
「さて、と。今回はどんな服がいいかな?」
そう言いつつ光雅は服を物色し始める。
オレに決定権がないのはいつものことで、選ぶ権利すらない。
なので試着室の前で、ぼんやりしているだけだ。
周囲には数人の若い男達がいて、光雅を興味深げにチラチラ見ている。
「…くっだんねー」
家の外にいても中にいても、同じこと。
全てが光雅中心になる。
―変わらない。
変わらないことが苦しくもあり、また楽でもあった。
このまま光雅に全てを委ねていれば…楽な生き方だろうな。
そしてその生き方を拒否しながらも、受け入れてしまっている自分に嫌気がさす。
「はあー」
もう毎日何十回と同じ考えをしているせいか、ため息も同じ数ほど出てしまう。
オレは近くにいた男性店員に声をかけた。
「若者向けの男性服売り場ってどこ?」
「あっ、ご案内します」
さすがに上の息子だと知ると、店員達のオレを見る目も変わった。
コレもイヤなもんだ。
オレの価値なんて、こういうふうにしか示せないんだと言われているようで…。
「あっ、ボクも行くよ。それじゃあお二人とも、また後で」
「ああ」
「ええ、楽しんでね」
あくまでも光雅にだけ向けられた笑顔と言葉。
見なくたって分かるんだ。
オレは振り返らず、案内されるまま奥へ進む。
後から光雅もついて来た。
「こちらになります」
「案内ご苦労さま。後はこっちで好きにやるから、下がってて」
「畏まりました」
そして光雅はとっとと店員を下がらせた。
「さて、と。今回はどんな服がいいかな?」
そう言いつつ光雅は服を物色し始める。
オレに決定権がないのはいつものことで、選ぶ権利すらない。
なので試着室の前で、ぼんやりしているだけだ。
周囲には数人の若い男達がいて、光雅を興味深げにチラチラ見ている。
「…くっだんねー」
家の外にいても中にいても、同じこと。
全てが光雅中心になる。
―変わらない。
変わらないことが苦しくもあり、また楽でもあった。
このまま光雅に全てを委ねていれば…楽な生き方だろうな。
そしてその生き方を拒否しながらも、受け入れてしまっている自分に嫌気がさす。
「はあー」
もう毎日何十回と同じ考えをしているせいか、ため息も同じ数ほど出てしまう。