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甘い鎖 ~アイツの愛という名の鎖に、縛られ続けたオレは……~

第4章 家の中の二人

最初光雅を見た時、本当にキレイなコだと感動した。

そしてこの人と一緒にいられるのは、幸せだとも感じた時もあった。

…たった一ヶ月間だけの話だったが。

それでも後悔はしていないんだから、やっぱりオレは光雅のことを…。

「どうかした? 黙っちゃって」

急に背後から抱き締められた。

「…疲れて、腹減っただけ」

「もう出来てるよ。こっちに運ぼうか?」

「いや、そっちに行く」

テーブルセットにはすでに、夕食の準備が整っていた。

けれど光雅が腕を解いてくれないので、身動きができない。

「何だよ? 宿題なら後でも良いだろう?」

「宿題はいつでもいいんだけど…。綾、何悩んでいる?」

「オレはお前のことでしか、悩まない」

「そりゃ嬉しいね」

嫌な顔をしてハッキリ言ったのに、光雅は嬉しそうに笑った。

光雅にとって、オレは全てであってほしいらしい。

喜怒哀楽、全ての感情が自分に向けば良い。

他の誰にも、何物にも向けないでいてほしいんだ。

「で、ボクが何?」

「昼休みに言っていたこと、本気だったら縁を切ろうかと思ってな」

「また怖いことを言い出すなぁ。ボクは綾に見捨てられたら、生きていけないのに」

「死ぬ間際にオレを道連れにするだろう?」

「それはもちろん。綾を残して、死ぬわけにはいかないからね」

楽しそうに語るも、真剣さは伝わってくる。

…いや、本気の殺意を、か?

「ボクのいない世界で、生きていてほしくないんだ。だから殺してあげる」

どっちが怖いんだか…。

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