テキストサイズ

CHOCO❤︎LAVE

第5章 トシオさん



大野「それと涼野くん、待ち合わせ場所とかややこしくしちゃってごめん。」


聖輝「いえ、何とか分かったので…」


大野「本当は駅まで迎えに行きたかったんだけど…この人がりょうくんだって確信も持てない状態で会いに行ってもって思って…」


聖輝「仕方ないですよ、チャットでしかやり取りしてませんし…お互いの外見知らないですし。」


聖輝「それに…大野さんは有名人だから…もし駅で待っていたら一般人に絡まれてたかもしれませんし…」


大野「ごめんね、俺のワガママに付き合わせちゃって。」


聖輝「それはワガママじゃないですよ、周りや僕のことを警戒して当たり前ですよ。」


聖輝「僕がもし大野さんの立場だったら同じことしていると思いますし。」


聖輝「いや、そもそも見ず知らずの人とチャットなんてしませんね。」


大野「やっぱりしないよね。」


聖輝「はい、怖くてとても…」


大野「だよね…」


聖輝「でも…正直、大野さんから会いたいって言われた時はすごく嬉しかったです。」


大野「えっ?」


聖輝「文字だけのやり取りって相手のことはもちろん、相手の気持ちも分からないじゃないですか。」


聖輝「そんな状態でどうお互い信頼関係築いていったらいいんだろうって…使い始めた頃はそう思っていました。」


聖輝「でも実際大野さんとチャットをして…最初は他愛のない話…月日が経つにつれてちょっとずつ深い話もするようになって…」


聖輝「僕が自然と悩みを大野さんに打ち明けられるようになったのも…この人だったら信頼できるって思ったからなんです。」


聖輝「だからこそ、僕もトシオさんのことをもっと知りたいって思っていた時だったので…」


聖輝「今、こうしてトシオさん…大野さんに会えてすごく嬉しいです。」


大野「涼野くん…」


僕が会いたかった人。


トシオさんは偶然にも大野智だったけど…


たとえトシオさんが大野智じゃなかったとしても、僕はトシオさんと出会えたことに喜びを感じていると思う。


それくらい、僕にとってトシオさんはかけがえのない存在になっていた。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ