明日への扉 ~~ 伝えたい気持ち
第3章 翌々日 ――
けたたましい電話の着信音で目を覚ました時、
カーテンの向こうには朝がやって来ていた。
すっかり明るくなった部屋の中で
私はおろおろと音の出所を探していた。
昨夜も前日に引き続きこの詰め所に泊まり込んだ。
就活関係の資料を見ながら、
結局は睡魔に勝てずローテーブルに伏せ、
そのまま朝まで眠っていたらしい。
『あぁ、私だ』
どこかから男性の声が聞こえてきた。
布団の上で身体を起こした彼が
電話をしている声だった。
『あぁ、今のところは予定で大丈夫だろ。
分かった、9時に現地で』
スマホを器用に肩で挟み、
彼は引き寄せたバッグから手帳を取り出し、
ページをめくっていく。
時間と場所を確認するだけの短い電話を終えた後、
彼はスマホで今の時刻を確かめ、
空いた手で前髪を掻き上げていた。