明日への扉 ~~ 伝えたい気持ち
第3章 翌々日 ――
私も壁掛け時計で時間を確認する。
現在、午前6時25分。
土曜日にこんなに早く起きたのは久しぶりだ。
「―― あのぉ……大丈夫ですか?」
私が声を掛けると、
男性は顔を上げてこちらを見た。
かなり驚いた顔をしている。
体調がまだ不完全なせいで倒れた時の記憶が
ないのだろうか?
「えっと……ここは?」
「祠堂の用務員詰め所です。
殺風景な所ですみません。あなたが
倒れた校門からはここが一番近かったもので」
「イヤ、お陰で助かった。どうもありがとう ―――
ところで、俺はどの位寝込んでたのかな?」
「えっと……だいたい2日(ふつか)です」
「えっ ―――― そんなにか??」
「養護の先生がおっしゃってましたよぉ、
かなりお疲れのようだって。
けど、お仕事がお休の週末で良かったですね」
「あぁ、まったくだ……いや、キミには
すっかり面倒をかけてしまったな」
壁にかかってるカレンダーを目にして
何かを思い出し。
急いでシステム手帳を開きスケジュールを確認。
「あの、もしかして……今日もお仕事ですか?」
娘に声を掛けられると柊二は『あぁ、そうなんだ』
と苦笑しつつ頷いた。
「今日はイベントがあってね」
「えっ。着替えとか大丈夫ですか?」
「あぁ、それは、会社に替えのスーツ置いているんで
問題ない。泊まり込みもしょっちゅうなんで、
何とかなるだろ」
帰宅途中にダウンしてしまう程疲れ切っている彼は、
こんな状態で今日も仕事に行くと言う。
それがなんだか気の毒に思えて、
私にできる事は何かないか? と、
必死に寝起きの頭を回転させた。