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愛って、ほんとにいいものですね 「改訂版」

第1章 愛って、ほんとにいいものですね

  愛って、ほんとにいいものですね


                    双葉 如人


         1

 これは、わたしを、あの素晴らしい性の世界に導いてくださった、わたしの愛しい光おじさまと、わたしが、はじめて愛しあったときのお話です。
 わたしが、光おじさまに、はじめてお会いしたのは、図書館でした。
 わたしが、本を取ろうと思って本棚に手を伸ばしたら、横の本が落ちてきました。
 その落ちた本が、光おじさまに、当たってしまったのです。
 わたしが、ごめんなさいと言って、その本を受け取ろうとしたら、
 「いいんですよ。
  あなたが、
  わざとしたんじゃないことは、
  わかります」
 とおっしゃって、その本を、本棚に戻しました。
 「それに」
 とおっしゃったまま、わたしを、じっとご覧になり、
 「それに、
  ミスは、
  誰でもありますから」
 と、にこっと笑ってくださいました。
 じっとご覧になったとき、ちょっと困ったなと思いましたが、そのときの、光おじさまの笑顔が、なんというか、とても失礼なのですが、かわいいと思ってしまいました。
 わたしが、困ったなと思いましたのは、自分で言うのもなんですが、わたしは、まわりの人から、めぐみは、すこしだけ美人だけど、不思議な色気があるんだよね、と言われていたからです。
 すこしだけ美人は、失礼でしょうと言うと、すごい美人よりも、めぐみのような、不思議な色気のほうが、男の人の気を引くんだよって、言うのです。
 そんなの、引かなくてもいいわ、といつも言い返すのですけど、鏡をみるときに、この顔が不思議な色気なのかなあ、とそれこそ不思議に思っています。
 でも確かに、男の人から、じっと見られることが多いです。
 それも、同じくらいの年の人より、年上の人が多いです。

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