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愛って、ほんとにいいものですね 「改訂版」

第1章 愛って、ほんとにいいものですね

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 図書館を出ると、光おじさまが、前を歩いていました。
 信号で停まったとき、わたしに気が付いて、ヤァと言ってくださいました。
 「お嬢さん、
  さきほどは、
  私が見つめたので、
  困ってらしたようですね」
 「いえ」
 と、わたしは、すこし赤くなって、小さく答えました。
 「じつはね、
  昔、
  お嬢さんによく似た人を、
  知っているものですから」
 そのときは、まさか、この方(まだ、光おじさまの名前を、知りませんでしたから)、わたしを、ナンパしているのじゃないよねと、とっても失礼なことを思ってしまいました。
 「もし、
  失礼でなかったら、
  すこし、
  その話を聞いてくれませんか?」
 ナンパだ。
 「その人とは、
  事情があって、
  連絡がつかないようになってしまって…」
 「わたし、
  急ぎますので」
 すると、その方は、わたしに向かって、お辞儀をしているではありませんか。

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