たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第9章 杉並実果留・特別編
*
学校が終わったあと、二人で制服のまま武の部屋で受験勉強をしていた……のだけど、
「あーギブギブ! もうやめようぜぇー」
ローテーブルに向かってるのが飽き飽きした武は、床に大の字になって倒れた。
「はぁっ? もうちょっと集中しなさいよっ。まだ三十分も経ってないのにー」
「無理っ。俺の集中力は、そんな持たねぇのっ」
「っ、たくもーうっ!
『大学に行く』と決めたのは、武でしょう!?」
「そうだけどよぉー、こんなに勉強しねぇとダメなの?」
「ダメっ! 武は特にっ。『E』判定なんだよ? わかってんの?」
「……ぐー……」
「っ! このタヌキっ!」
「いって!」
わかりやすいタヌキ寝入りをした武の頭に、参考書をバシッとお見舞いしてやった。
「ほーらっ、起きた起きたぁー! 今はまだ三時過ぎだよ? 寝るのには早過ぎでーすっ!」
「んあー、何すんだよぉー」
私は武の両手首を掴んで、無理矢理起こした。
これじゃあ、毎朝武を叩き起こしてる時とやってることが一緒だし。普段の時間でも、ホント世話がやけるんだからー。
まぁ、それも……武のことが好きだからやってることなんだけど。
「はい。どうぞ続けて下さい」
「たくっ……はいはい、わかりましたよーっと」
武はやれやれと観念して、再びローテーブルに向かい参考書を開いた。