たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第9章 杉並実果留・特別編
あ。あの中だったら、そこまで大事な物とかは入れてなさそうだから、開けてみても大丈夫だよね?
よし、決めた! そこにしよう!
武が戻ってくる前に入れちゃおう。
早る気持ちを落ち着かせながらベッドに乗って、ヘッドボードの引き出しを開けた。
「…………」
何コレ?
引き出しの中に、見慣れない物が。
見慣れないけど、見たことはある。
それが何かと私の中でまだ断定してないけど、何となーく緊張が高まってきつつ、中にあるソレを指で摘まんで持ち上げてみた。
すると、バラリと長くなった。
「……え?」
小さな正方形の袋が一個……だけだと思ったら、五個連なっている。しかも、それぞれの袋には、中身を主張するように輪っかがくっきりと浮き出ている。
つまりこれって――性行為の時に使用する、避妊具……
「ーーーーっ!」
何かとわかっちゃった途端、持っていられなくなった私は、捨てるように指から離して、更に後退りしてソレから身を引いた。
な、な、な、何でっ……何で武がこんなの持ってるの!? こんなっ、名前を口にするのを躊躇しちゃうような物を、何でっ……。
私はここで、三ヶ月前のことをハッと思い出した。
寝ぼけている武と、キスしたり触れたりしたあの時のことと、武が私と最後まで行為に及んだ夢を見たと教えてくれたことを……。
ま、まさか武……アレをしようと考えてるの?
ウソ……。でも、ソレがあるってことは、そういうことが目的だから持っているワケであって、水とか入れて遊ぶとか、そんな子供じみたことをするために持っているワケじゃないよね?
それって……いつ使うつもりなの?
まさかの、付き合って三ヶ月経った今日だったり……する? まさに『今でしょう』……ってヤツ?
だとしたら、ちょっと待って。
私……今日どんな下着だったっけ!?
制服のネクタイを緩めてブラウスを引っ張り中を覗いた……けど、すぐに思い直して閉じた。
下着が良くたって、心の準備が全然出来てないんだってば!
どっ……どうしよーっ!