たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第9章 杉並実果留・特別編
「ありがと……武……」
強く抱きついたまま、武の耳元で囁くように言った。
「俺こそ。ありがとな、実果留」
「何だかんだで、ペアになっちゃったね」
「あぁ。これで完全に『実果留は俺の恋人』アピールが出来るってもんよ」
「……え?」
武のセリフに反応した私は、少し離れて顔を合わせた。
「言っとくけどな、最近のお前……ますますモテ出してんだからなっ」
「はぁ? ウソでしょ?」
「お前は知らないだろうけど、付き合うようになってから、
『杉並を取りやがって』『武にはもったいねぇ』『早く別れてオレに譲れ』って様々な声を浴びせられてんだよっ。
それにお前、告白とかもされてるし。俺がいるのに。それでいつもムカついたり、夕崎の時みたいに取られやしないかってハラハラしたりもしてたんだよっ」
「あ……」
そんなことまで一緒って……。
「ぷっ……あははっ。もーうやだー」
「なぜ笑う!? 俺は真剣に…………んっ」
私は武のセリフの途中で、
唇を重ねた。