たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第1章 杉並実果留
「……なぁ、あんた……えっと……夕崎だっけ?」
「あっ、はいっ」
武は、ずっと黙っていた夕崎君に声をかけた。
「本当に……いいのかよ?」
「……え?」
武、マジな顔して……一体何を言うつもり?
「こんなやつが彼女でさー」
…………ん?
武、今……『こんなやつ』って言った?
「あ、はい。自分から告白をしたので……」
「マジでー!? こんな気が強くて乱暴な女のどこがいいの?」
「えぇっ!? それはそのっ……えっと……」
突然の振りに、夕崎君、顔を赤くして、慌てふためく。
ていうかさ、武のヤツ! その、いかにも『信じらんねぇ、頭おかしいんじゃねぇの!?』って顔、ひどくない!? 乱暴って何よっ! 乱暴ってー!
……はぁ。なんか、ガッカリした様子もなさそうだし、私を下げるようなこともサラリと言うし……。
やっぱり私のこと、何とも思ってないのかも……。
「……ま、あんたがいいならいいんだけど。こんなヤツだけど、よろしく頼むな。
俺の……幼なじみだからさ」
武っ……。
「……はい。わかりました」
よろしくされた夕崎君は、穏やかに笑みを浮かべて返した。
やだ、武……。そんな、私をアッサリ離すようなことを言わないでよ。
寂しすぎる……。
その気持ちが、目のとこにまで込み上げくる。でも、スクールバッグの持ち手を握る力を更に強くして、耐えた。
「じゃあ……俺、帰るわ。じゃあな実果留。また明日な」
「あ……うん。じゃあね……」
私の横をスッと通り過ぎて家に向かう武を、見えなくなるまで目で追っていた。
私……本当に、何やってるんだろう……。
これって、自業自得……ってヤツじゃん。
ホント私って……バカだよね。