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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第2章 佐倉武




 ――小学三年生。


 ん? ろう下のすみで、実果留がそわそわして立っているぞ。

 誰かを待っているみたいだな。

 近づいてみると――


「……なんだよ、実果留。それ」


 大事そうに手に持っていたのは、かわいくラッピングしたプレゼントっぽいやつ。


「ダメッ! こっこれは、三組の山本くんにあげるチョコなの! 武は、昨日あげたでしょ!?」


 別に『くれ』って言ってないし。


「そういや実果留……あいつのことが好きなんだっけな」


 すると、実果留は顔をポッと赤くして、たてにコクン……とした。


 ……なんかムカつく。

 オレだって、ちゃんとバレンタインデーの日にほしかったのに。

 チョコだって、普通のビニール袋に入れただけのじゃなくて、そうやってラッピングしたのがほしかったのに。


 あぁなんか……すんげぇムカついてきたーっ!!


「ちょっと、かせっ!」

「やだっ! 何すんのっ!? ……キャーーッ! ちょっと武っ! 破かないでよぉー!」

「うるせぇ! ……んぐんぐ……」

「あーーっ! もーーうっ! 何食べてんのよぉー! 武のバカバカバカァー!」

「いててっ! たたきすぎだぞっ!」

「うるさい! チョコ返してよぉーっ!」



 ……ふーんだ。ざまぁみろ。



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