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たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―

第2章 佐倉武



 …………




 ……ん?ここは……どこだ?


 目を覚ましたら、天井が変わっていた。


 首だけ動かして周りを見渡すと――


 はぁ? 学校の保健室か?


 何でだよ。俺は、今日学校を休んで家で寝ていたんだぞ。なぜ、いきなり保健室のベッドの上に?


 とりあえず、起きるか……。


 が、体が全くもって動かない。


 うっ……なっ、何でだ! 誰かっ……助けてくれっ!


 声を出そうにも、うまく出せない。


 何なんだよー! おい、誰もいねぇのかよ!


 必死にもがいていたら、どこからかガラーッと音がした。



 現れたのは――


『たーけるっ!』


 実果留っ!


 実果留は、椅子を引きながらベッドのそばに来て座った。


『ふふっ! 武、どう? 具合の方は』


 ニコニコしながら話しかける実果留に、俺も応えたいのに……。


 実果留っ……くそっ! どうしても動けねぇし、しゃべれねぇ!


 しかし心なしか、実果留の声がさっきからやたら響いてないか? マイクか何かで通してるような……そんな声だ。


『武……大丈夫? 苦しそうだよ?』


 苦しいよ……いろんな意味で……。


『あはっ、わかった! ノド乾いてんでしょ? それなら私、水買ってきてあげる! 待っててね! すぐに戻ってくるから!』


 実果留がハリきって立ち上がった。


 戻ってくるとは言われたけど……俺は、なぜか危機を感じた。


 このまま一度離れたら、実果留はもう二度と戻って来ないような気がしたからだ。



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