たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第3章 杉並実果留
「……スー…………んぁ? ……み……かる?」
「っ!」
武が起きたっ……。
顔から手を離して見ると、武の目が半分開いてて私の方を見てる。
「あ……どうし、た……んだよ……実果留ぅ……」
「えっと……そのっ……」
慌てて涙を拭った。
どうしよ。まだ完全に眠ってると思ってたのにっ。私、泣き顔だし、いきなり来てるしで、武に何て言ったら――
「っ! えっ、何っ? 武っ?」
武は、こっち側に寝返りをうちながら右手を伸ばし、私の左手を握ってきた。しかも、かなり強めに。
ちょっと待って……何で? 武の手が、私の手を包み込んでるの? ワケわかんないよっ。
「離れていくから……もう、戻ってこないと思った……」
「……え?」
「水を買いに行って……そのままもう……戻って、こないかと思った……」
「みっ、水を買いに? 私が?」
何言って……あ。
まさか武ってば……また寝ぼけてる?
空いてる手を使って、武の顔の前でヒラヒラさせて反応を確かめた。
……全然反応がない。やっぱり寝ぼけてるんだ。
けど……いつになく悲しそう。
武が寝ぼけて泣いたりしたのは何度かあったけど、ここまで悲しそうな顔をしてるのは初めてかも。
それって、今言ってた『私が戻ってこないと思った』から?
え、それで? それで武、そんなに悲しそうなの?
やだ、武……私まで悲しくなっちゃうよ。