たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第3章 杉並実果留
私は、手をキュッと握り返した。
「武。私は離れていったりしないよ? ほら。ちゃんとここにいるでしょ?」
「…………」
「だから……武も離れていかないで……お願い……」
いつまでも一緒でいたいよ。
身長も、ものを言うタイミングも、双子みたいに武といつまでも一緒でいたいよ。
また目から涙が出だした。
「……実果留っ……」
「キャッ……」
ドサッ…………。
た…………武っ……。
ちょっと、これはマズイ。
手を引っ張られた私は、武の上に覆い被さってしまった。
布団越しでも武の体がわかるし、武の顔が近い。
どかなきゃ……武が本格的に目を覚ましちゃうよ。
けど、武の握る手が強くて離せないし、私も動けない。
「もう……離したく……ない」
「え?」
「限界、なんだ…………」
「げ……限界……って?」
「実果留……」
「キャッ……たっ……けるっ……」
うそっ……。
武が私を抱き寄せて、ベッドの上で一緒に半周転がると――
今度は、武が私に覆い被さる体勢になった。
掛け布団はベッドからずり落ち、私と武の間には何もなくなった。
「………………」
「………………」
武が、寝ぼけ眼(まなこ)で私を見下ろす。
いつもの子供っぽい武じゃない。
すごく、男の人に感じた。