たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第4章 佐倉武
「……なんてことだ……」
俺は項垂れそうになりながらも、何とかベッドに腰をかけた。風邪なんて、もうどうでも良かった。
手を開いて、ヘアゴムを改めて見る。力を込めて握っていたから、花モチーフの花びらが少し内側にすぼんでしまった。
実果留……。
あれは、夢じゃなかったのか?
確信はまだないけど、俺のことだからいつもみたいに寝ぼけて、実果留を……夢同様……
「くそっ!」
バカみたいに寝ぼけていたであろう自分に激しくムカついて、握った拳をベッドに叩き付けた。
だから来てほしくなかったんだっ!
なのにっ――
(それで、あんたのお見舞いに来てくれたのよ。
朝の仲直りも兼ねてね)
あんなにヒドいことを言ったってのに、ノコノコと仲直りしに来やがってっ。
「たくっ……可愛すぎだろう……」
だから好きなんだよ……実果留。
もう、こうなったら……ハッキリしなくちゃいけないよな。
もう……ただの双子コンビじゃいられない。