たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第5章 杉並実果留・最終話
*
私は昨日、夕崎君に電話して、今日駅前のカフェで会う約束をした。
大事な話をするために……。
時間は午前11時にした。土曜日で休みだし、夕方はパパとママとの約束もあったから。夕崎君も、その時間で了承してくれた。
せっかくの晴天なのに、こんな話をするのは申し訳ないけど。
それでも……しないといけなかった。
「夕崎君……ごめんなさい」
窓際のカウンターで、並んで座る夕崎君に謝った。昨日の仮病のことも兼ねて。
「杉並さん……」
「私、もう……夕崎君とつき合うことが出来ない」
うっ……泣くな泣くなっ。
私は振る側だ。私が泣いたら、夕崎君が悪いみたいになる。
私が悪いんだから……私が……。
「……そう……ですか……」
顔はうまく見れないけど、声からして悲しそうだった。
胸が痛い……なんて、私が悲しく思っちゃダメっ。
胸が痛くて悲しいのは、夕崎君の方なんだからっ……。
私は涙が出ないように、膝の上に置いた手にグッと力を入れた。