たけるとみかる―双子みたいな幼なじみ―
第5章 杉並実果留・最終話
「何で、もうつき合うことが出来ないかと言うと……」
武のことを頭に浮かべながら、理由を述べようとしたら――
「双子コンビの、佐倉武君……ですか?」
「えっ!?」
言おうとした名前を、夕崎君が先周りして言ったからビックリした。顔だけ右隣に向けると、夕崎君は儚げな笑みを浮かべていた。
「やっぱり。そうでしたか」
「ゆ、夕崎君?」
「杉並さん……やっと自分の気持ちに素直になれましたね」
「えっ? えっ?」
何? その意味深発言……意味がわからないよ。
困惑している私に、夕崎君は口を開いた。
「自分……実は、最初から知っていたのです」
「なっ、何が?」
「杉並さんが、佐倉君を好きだってことを」
「……えぇーっ!?」
ととっ! やっば! 大声出しちゃった!
店内を見渡すと、他のお客さんからジロリと見られる。うぅ、すみません……。
「て、ていうか、何で知ってるの? 私、誰にも言ったことないのに!」
「わかりますよ。杉並さんをずっと見てましたから」
「ウ、ソ……」
はっ、恥ずかしー。
私って、そんなに好き好きオーラが出てたの?
て、ことは……
「てことは夕崎君……私が武のこと好きなことをわかっていながら、つき合っててくれたのっ?」
「……はい」
「えっ、どうしてっ!? って……そりゃあ、私から『つき合おう』って言ったんだけどさっ。
にしても、そんな女はおかしいって思ったでしょう!? なのに……どうして?」
「確かに……疑問には思いましたよ?」
夕崎君は、さっきから困惑しかしてない私から顔を反らすと、遠い目をして外の風景を眺めた。