愛はあふれる 「改訂版」
第1章 愛はあふれる
愛はあふれる 「改訂版」
双葉 如人
1
あたしは、ずっと不感症だと思っていた。
それは、あそこが濡れないからだ。
それを、優さんが、直してくれた。
直してくれたというより、優さんと愛しあうとき、すごく濡れるんだ。
優さんは、女性は濡れるのが当たり前なのだから、なにも不思議なことではないと言ってくれる。
あたしが、優さんと話すようになったのは、万引き事件のときだ。
正確に言えば、事件にはならなかったが。
あたしの家族で経営しているコンビニで、万引きをしようとしていた中学生の男の子を、優さんが未然に防いでくれたのだ。
その男の子が、オドオドとシャーペンに手を伸ばそうとしたとき、優さんがサッとそのシャーペンを取った。
「これ
おじさんが買ってもいい?」
男の子は、可哀そうなくらいうなだれて、首をコクっとさせた。
そして、走って店から出た。
あたしは、優さんに、
「ありがとうございます」
と言った。
「いやいや
あの子を、万引き犯にしなくてよかった」
そして、あたしをじっと見た。
双葉 如人
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あたしは、ずっと不感症だと思っていた。
それは、あそこが濡れないからだ。
それを、優さんが、直してくれた。
直してくれたというより、優さんと愛しあうとき、すごく濡れるんだ。
優さんは、女性は濡れるのが当たり前なのだから、なにも不思議なことではないと言ってくれる。
あたしが、優さんと話すようになったのは、万引き事件のときだ。
正確に言えば、事件にはならなかったが。
あたしの家族で経営しているコンビニで、万引きをしようとしていた中学生の男の子を、優さんが未然に防いでくれたのだ。
その男の子が、オドオドとシャーペンに手を伸ばそうとしたとき、優さんがサッとそのシャーペンを取った。
「これ
おじさんが買ってもいい?」
男の子は、可哀そうなくらいうなだれて、首をコクっとさせた。
そして、走って店から出た。
あたしは、優さんに、
「ありがとうございます」
と言った。
「いやいや
あの子を、万引き犯にしなくてよかった」
そして、あたしをじっと見た。