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ゴッドフィンガー田螺

第1章 田螺は、今日も稼動中

俺は、胸ポケットに入れていたケータイを取り出し、どや顔で見せつける。



「な、何よ……それ」



俺は、ゆっくり速水に近付いた。
速水の前に立った俺は、耳元で囁くように話した。



「速水ちゃん、アンタは駄菓子屋で窃盗を行い、帰ろうとしたらオーナーのおばちゃんに見つかった。警察に突き出されるのが嫌なアンタは、棚に置いてあった蒟○畑(前世紀版)を口の中に詰め込み、窒息死させた。」



俺は、ゆっくり耳元から離れて、また正面に立つ
恐怖と驚愕が入り混じったような速水の表情。
先ほどまでの威勢の良さはもうそこにはない。




「これだけで十分な情報だろ?まぁ、この携帯電話には、もっと情報が入っているがな……要するに警察に見せたらアンタは一発でKOだ。」



科学の力ってすげーって再確認できるよな。



「……た……けて……」



消え入りそうな声を出す速水、しかしその声は、車の音でかき消されていて上手く聞き取れない。



「あんだって?」




「……お願い……助けて……警察に……言わないで……」



遂には、涙を流しながら訴えてくる。
溢れ出る涙を拭いながら必死に止めようとする。



「……」



「う……ぅう……」



人間ってのは、可笑しな生き物だ。
自分が悪い癖に自分が正しいとか変な正答化をする。
本当に汚い生き物だ。



「……いいだろう」



「……ほん……とに?」









「ただし……少し付いてきてもらうぞ。」

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