ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中
第2章 悪夢のような現実のはじまり
「ああ......染めたんでしょ。あの子、都会に居たから」
「ずっと都会に居ればよかったのに」
「そういう訳にも行かないんじゃないの? 宝条の家って、良い跡継ぎに恵まれてないみたいだし」
「でも、そんな状況で呼び戻されたってことはさぁ......」
ヒソヒソと、嫌な言葉が山のように学生達の口から吐き出される。
耳を塞ぎたくなった頃に、背後に居た美鈴ちゃんが口を開こうとした。別に彼女が文句を言ったところで、言葉は止まる訳でもないのだが。
だけどその時――。一瞬、ほんの一瞬、時が止まるような気配がした。
思わず気配のした方を振り返る。桜の木だ――。満開の花を咲かせている、大きな木――。
新入生を歓迎するために咲き乱れるその花の色は――。
私から見れば、真っ赤な血の色に見えた。
「ずっと都会に居ればよかったのに」
「そういう訳にも行かないんじゃないの? 宝条の家って、良い跡継ぎに恵まれてないみたいだし」
「でも、そんな状況で呼び戻されたってことはさぁ......」
ヒソヒソと、嫌な言葉が山のように学生達の口から吐き出される。
耳を塞ぎたくなった頃に、背後に居た美鈴ちゃんが口を開こうとした。別に彼女が文句を言ったところで、言葉は止まる訳でもないのだが。
だけどその時――。一瞬、ほんの一瞬、時が止まるような気配がした。
思わず気配のした方を振り返る。桜の木だ――。満開の花を咲かせている、大きな木――。
新入生を歓迎するために咲き乱れるその花の色は――。
私から見れば、真っ赤な血の色に見えた。