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ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第2章 悪夢のような現実のはじまり

 肌の色は、生気のない土色だというのに。

 枝から下がっているロープは、確りと首筋に掛けられているというのに......だ。

「なんや、あんた......ウチが見えるんか?」
「っ......」

 返事はしてはいけない。だが、私の見開いている目がそれを証明しているようだった。
彼女は嬉しそうに微笑みを浮かべた後「そうか」と呟く。

「なんや、驚かせて悪いなぁ。まさかウチのこと見える人間が居るとは思っとらんかったけん、死んだ姿のまま寝とったんよ。今ちょっとマシな姿に――って、ちょっと?」

 彼女の話を聴くことなく、私は逃げていた。
 逃げて、逃げて、そのまま駆け足で入学式の会場に入る。

「ゆうきちゃん、あの子――」
「分かってる......そんなこと分かってる」

 美鈴ちゃんの言いたいことは分かる。
 あの子はきっと悪い子ではない。

 ――しかし、あの子は強い。

 霊には恨みや未練によって力がある。悪霊は人を力で殺すことだって出来るし、馬鹿な人間が心霊スポットに行って取り憑かれたりするのは大体力の強い霊を侮っているからだ。

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