『ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中』第2章「悪夢のような現実のはじまり」　24ページ

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ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第2章悪夢のような現実のはじまり

　ここは人口も少なく、交通手段もあまりない。
田圃と畑と、古くてデカい住宅が立ち並ぶだけの場所だ。
当然ながら噂はその狭いサークルを回り易く、そして留まり易い。外に流れて行く事は余りないが、その分根強く染み付いている。

　偏見の目はここでは間逃れるものではない。

　思わず溜息が出る。その瞬間美鈴ちゃんが｢ゆうきちゃん、大丈夫？｣と後ろから声を掛けてきた。流石に入学式で彼女に答える訳にはいかず、コクコクと頷くだけに留めた。

　だが、そんな動きだけでも私がしたから目立つのか、あの子何か見えてるんじゃない？　という小言が少しばかり立った。

　――喧しい。そう思う。

　田舎だから偏見や噂話は覚悟の上だ。然し、いざその最中に立たされると鬱陶しくて仕方なくなってくる。
個人的にはもっと静かに生きたいし、出来れば友達だって欲しい。平和で平穏なのがいい。

　そう思うと、都会に居た頃は友達が居たな――なんて都会が恋しくなってくる。来るしかなかったとはいえ、腹を括りここに来たのは私だというのに......。