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ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第2章 悪夢のような現実のはじまり

 彼女は、気づいているのだろうか?

 ――今この瞬間。


 語っているこの瞬間に自分の力が強まっていることに――。


 悪霊に近付いていることに――。

「......それで?」

 私は漸く言葉を絞り出すように声を出せた。結構素っ頓狂な声だったと思う。

 彼女自身はその声に「なんやて?」と異論を唱えるように返した。

「あんた......それで満足したの?」

「しとるわけないやん」

「でも......あんたを虐めてた人には一応復讐できたわけじゃん」

「一応やろ? そいつは卒業までうちを罵倒することしかしとらんかったで? 性懲りもなく大学に通って来て、封鎖が終わったら忘れたように同じ席に座っとったんやで? まぁ、机はもちろん変えられたわけやし、そりゃ座れるやろうけど......。

 ほんと......同じ人間と思えんかったわ......」

 ふと、彼女は少し悲しげな瞳をした。悔しそうな......そして、その行動をした自分自身をまるで悔いているような。そんな目だった。

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