テキストサイズ

ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第3章 過去

 ――そのまま彼の身体の中に私は飲み込まれる。これが本来の“取り憑く”という事なのだろうか? 全く身体の身動きが取れない儘、妙な寒気に包まれた。

 思わず閉じてしまった瞳の中に、一瞬だけ何かが映る――。

 それは――。

 幼い私? いや、違う。

 ――私そっくりな。

 幼い日の、母の顔だった。

「はい、終わりましたよ。有姫様」

 背中が重かった。

 怖々と目を開ければ、私の目の前に初音はいなかった。

 どうやら背後にいるようで、後ろから淡々と声をかけてくる。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ