テキストサイズ

ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第3章 過去

「随分呆気なく取り憑けました。何の抵抗もない。少しばかり貴女自身の力に期待もありましたが拍子抜けだ」

 開口一番が嫌味かよ、こいつ。

「ねぇ......そんなことより、聴きたいことが......」
「なんです?」
「今の......何?」
「はい?」

 一瞬だけ見えたあれは――なんだったのか?

「......アンタに取り憑かれた時......その、一瞬私の母親の子供時代が見えてさ......」

 そう告げた瞬間――。

 初音の表情が強ばったのがわかった。

 あ、此奴もこんな風に動揺するんだ、なんて少しだけ背後から感じる緊張感に人間味を覚えた。

「............子供時代......ですか?」
「うん。なんかその私に凄く似てたなっ......て」
「そうですね......。
 ――貴女とお母様は迚似ていますね」

ストーリーメニュー

TOPTOPへ