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ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第4章 刹那の口付け

首筋に回された掌に力が籠る。ギリギリと首筋が締め上げられ、空気が入らなくなる。
そこには確かな殺意があった。初音の表情が恨みに歪んでいく――。

「解ってますよ? 貴女が姫子様でないことも、貴女が何も知らないことも。でも――だから何だと言うんだ。
私は貴女が宝条の跡取りであること自体、憎くて仕方ないんですよ。

これが姫子様ならまだ救われたのに……なぜ娘の貴女が……。姫子様が来てくださると思ったからこそ、私は受け入れられたというのに……」

――息が出来ない。この人、ほんとに私を殺すつもりだ。そもそも、この人は何を言っているのだろう。

お母さんが跡取りになれるわけがない。だって何の力もないのだから。そんなに私の母が好きなのか。

――あんな女が。
――あんなクズが。
――人を捨てるような毒親が。

「五月蝿い!! 貴女にあの人の何が分かると言うんだ!!」

 ――分かるわけないでしょ、こっちが聞きたいわ。あんたに私の何が分かるのよ。恨みでなんも見えてない癖に。そんなに好きならなんで一緒に居なかったのよ。

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