『ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中』第4章「刹那の口付け」　86ページ

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ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第4章刹那の口付け

『アンタが片親な理由？　簡単よ、あの人がアンタのこと気味悪がったからよ』

　――母親の言葉が蘇る。そうだ、こいつが父親だったら。

『アンタみたいに気味の悪い物が見えまくる子供。そりゃあ気味の悪がるでしょうよ。何が幽霊よ、何が力よ、跡取りよ。

　バカじゃないの？　アンタのせいで全部めちゃくちゃよ。アンタなんて産まなきゃよかった』

　――こんな事は言われずに済んだ。こんなことにも、ならずに済んだかもしれない。

　私の父親は、何も家に理解がなかったそうだ。母は力がないと分かった時から、元々継ぐ気なんてなくて修行を放棄し、遊び呆けていた。

相手には、宝条の娘であることすら言っていなかったらしい。というか、この土地に移り住んできたばかりの人間だったらしいから知ったところでどんな家かも分からなかっただろう。