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ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第4章 刹那の口付け

 母は、暫く本家から見つけられないように居場所を転々とした。小、中と、私は全く見知らぬ土地を転々とさせられ、そして高校生になる時に都心で落ち着いた。

 それから三年――都心で平和に過ごしてた。
 母は母で楽しみも出来たみたいで、少しずつ笑顔が増えて、距離も埋まっていった。そんな時に届いたのが――あの手紙だった。


 おばあちゃんが死んで。誰も跡取りが見つからなくて。本家に私が見つかって――。


 もう、母も疲れていたのかもしれない。それでも――。


 それでも私はあの日を忘れられない。

 ――誰も居ない家。電気も点いてない部屋。机に無造作に置かれた本家からの手紙と金の入った封筒。それと一緒に置かれたぐちゃぐちゃの汚い字が書かれたメモ用紙――。


『やっぱりアンタなんて産むんじゃなかった。私の人生返せ』

 ――こっちのセリフだ。このくそばばあ。

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