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ツンデレのお嬢様は幽霊執事に夢中

第4章 刹那の口付け

 それまで――初音(こいつ)は何をしていたんだろう。

 母親と殆ど兄妹みたいに育てられてたみたいだけど、血が繋がってないことは本人たち分かってたのかな......。

もしかしたら恋人だったのかもしれない。でも――私が産まれるまでの間、こいつは傍に居なかった。

 こんなに好き好んでるのに、なんでそんなことになってるのか。こいつに一体何があったのか――。

 何も知らずに、私は死ぬのだろうか?
 それは嫌だな。と思った時に少し初音の力が緩んだ。

「――貴女にとっても......姫子様は、余り好ましい人物では、ないのでしょうね」

 ――当たり前だろ。なんで自分を捨てた親を好ましく思えるんだよ。なんであんなこと言ってきた親を好きだと思えるんだよ。

 でも――好きだと思おうとは、した。

 それが伝わったのか。
 それとも全部聴こえてたのか、初音の表情は落ち着いていたし、悲しさだけが深くなっていた。

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