sweet poison【BL】
第1章 茜陽一の仕事
「それも考えました。しかしウチみたいな中小会社からは、何も取れないと思うんですけどね」
水野も歯切れ悪く答える。
「確かに売れ行きは上がっていますが、そんなに大きな利益は出ていませんし、商品自体も盗もうが潰そうが向こうに得することなんてないと思います。知名度だってそこそこと言ったところですし、ライバルなんてものも存在しませんしね」
小さく細々と運営してきたのだ。
どこぞの企業に眼を付けられるいわれもない。
「う~ん。なら断った方が良いんじゃないですか? 水野さん。後に経営不振になって、こっちにダメージが来ても困りますし」
「そうですね。ただ万が一向こうが本気ならば、これほど良いお話はないんですが…」
「それはまあ…そうですが」
東京に一店舗でも店があれば、工場のみんなのやる気も違うだろう。
もちろん成功すれば、喜ばしいに決まっている。
「でもリスクを考え、向こうの会社の本心も考えると、やっぱり…ってなりません?」
「陽一さんも向こうの会社の本心が気になりますか」
「ええ。まあお店の話は素直に嬉しいですし、経営の方は何とかなるかもしれない。けれど相手側の本心が見えないことには、動き辛いですね。それこそ万が一詐欺だとすれば、泣くに泣けないですし…」
「そのことですが…」
水野は声を潜め、真剣な表情を浮かべた。
「実は向こうの会社の方から、陽一さんに一度来社してほしいとの申し出があるんですよ」
「オレに? 何でまた」
確かにこの会社の営業は陽一が担当している。
だがこの場合、社長である父を指名するのが普通だ。
これほどまでに大きな話なら一従業員よりも、会社の代表と話がしたいはず。
水野も歯切れ悪く答える。
「確かに売れ行きは上がっていますが、そんなに大きな利益は出ていませんし、商品自体も盗もうが潰そうが向こうに得することなんてないと思います。知名度だってそこそこと言ったところですし、ライバルなんてものも存在しませんしね」
小さく細々と運営してきたのだ。
どこぞの企業に眼を付けられるいわれもない。
「う~ん。なら断った方が良いんじゃないですか? 水野さん。後に経営不振になって、こっちにダメージが来ても困りますし」
「そうですね。ただ万が一向こうが本気ならば、これほど良いお話はないんですが…」
「それはまあ…そうですが」
東京に一店舗でも店があれば、工場のみんなのやる気も違うだろう。
もちろん成功すれば、喜ばしいに決まっている。
「でもリスクを考え、向こうの会社の本心も考えると、やっぱり…ってなりません?」
「陽一さんも向こうの会社の本心が気になりますか」
「ええ。まあお店の話は素直に嬉しいですし、経営の方は何とかなるかもしれない。けれど相手側の本心が見えないことには、動き辛いですね。それこそ万が一詐欺だとすれば、泣くに泣けないですし…」
「そのことですが…」
水野は声を潜め、真剣な表情を浮かべた。
「実は向こうの会社の方から、陽一さんに一度来社してほしいとの申し出があるんですよ」
「オレに? 何でまた」
確かにこの会社の営業は陽一が担当している。
だがこの場合、社長である父を指名するのが普通だ。
これほどまでに大きな話なら一従業員よりも、会社の代表と話がしたいはず。