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異常性愛【BL】

第1章 1

𓇼𓆡𓆉

「榊原、終わったか?」
「はい――。もう終わってますよ、行きましょうか」

 理科室の引き戸を開けると、榊原は何時ものように虫籠を覗いており、私が訪れたので其れに暗幕を掛けていた。

 暗幕が掛かる前の虫籠の中では、今にも蟷螂が、襲いかかってくる蜜蜂を食い殺そうと、鎌を奮っている様子が見えた。

 矢張り随分と――趣味が悪い。

「また蠱毒の真似事か......」

「違いますって......呪術じゃぁないですよ。唯の観察です」

「其れは呪術になると、何度も説明した筈だが?」

「オカルティックですねぇ......私はそうした事に余り興味が無いので、知りませんよ?」

 ――知らずに之をやる人間が居るとは思いたく無かったのだが、初めて此奴の趣味を見て、真っ先に興味を示したのは私だったし、其れが急速に此奴との仲を縮める事になった。

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