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異常性愛【BL】

第1章 1

 一体、何故こんな事になっているのか。其れが私が、一番初めに感じた疑問である。

 ――離せ!!

 そう声に出したつもりだった。だが、自身の口から漏れたのは、唯溢れる唾液が泡を立てる無様な音だけだった。

 ――随分と醜悪な趣味を持った奴だ。そう思う。

 手首にはきつく縛られた縄の感触、口にはギャグボール。私を攫い、こんな恰好で私を閉じ込める変態は一体何処のどいつかと問い詰めたくなる。

 ――――思えば、私は今日何をしていた。

 少し頭がぼぅっとするが、暗闇に満ちた部屋に視界が慣れていくと同時に、少しずつ記憶が蘇ってくる。

 ――――そうだ、今日は同僚の教師と飲んでいたのだった。

 つい盛り上がり。

 酒が進み。

 強い酒を飲むようになり――。其所からどうなったか――。

 ――――記憶がぽっかりと抜けている。

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