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ヌードモデルと緊急事態

第1章 救命講習と半裸1


例によってマニアックな仕事をさせる事務所だ。

不特定多数に半裸を見られる、か。


自治会(町内会)が防災訓練を企画するのはよくあること。
その中に救急法の実技を盛り込むのが最近のトレンドで、人工呼吸、心臓マッサージ、AEDと本格的にやる自治会も珍しくないらしい。

私が派遣されたのは日曜日の新興住宅地の公民館だった。

まずは公民館の厨房でショーツとソックス以外を脱いだ。
女性の世話役から水色のブラジャー、白いブラウス、紺のスカートを支給されて着用し、さらに私物の「見えてもいい黒いパンツ」を重ね穿きした。

はっきりいえば、外見は女子高生だ。

講習会が始まった。

私は厨房に一人で待機した。男性が入らないという理由でここが控え室とされたようだ。

消防署員の話や質疑応答などの声が漏れ聞こえ、なかなか真面目で白熱した会合になっているのがわかった。

さて、出番。

今回から登場したというAEDコーナーだ。

名前を呼ばれてドアを開け、会場に入る。

とくに紹介はない。
打ち合わせ通り、いきなり床に倒れる。

現役女子高生よりもスカートは長いし、黒パンツという保険をかけているから、思い切りやった。

私は、車にはねられて、意識を失った女性の役だ。

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