兄弟ですが、血の繋がりはありません!
第13章 音がしたのは冬のはじまり
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昨日はあのまま子どもみたいにわんわん声を出して泣き続けた。
最初はばぁちゃんも背中をさすってくれたり涙を拭ってくれたりしてくれたけど、余りにもオレが長い時間泣くものだから呆れてしまったようで。
『そんなに泣いてたら身体中の水分が枯れちまうよ』
と、オレを風呂場まで連行し入るように促してくる始末だった。ばぁちゃんには迷惑かけたけど、全部言えて、全部を聞けたオレは頭も気持ちもすっきりとした最高の気分だ。
「…て、か…今なんじ・・・」
目覚ましもセットせず、体内時計という自然に任せて起きたものだから枕元に放ったスマホを探す。昨日から電源を切っていたから約1日ぶりにその液晶に触れた。
ぽん、と現れた時計は午前11時を過ぎたところで。
家ならこんな時間まで寝てるなんて悠が許してくれないな、なんて思ってしまう。オレはやっぱりあの場所で家族といるのが一番幸せなんだろう。
「わ、わ…」
クスっと自分を笑っていたのも束の間、次の瞬間ブルブルと手の中のスマホが震え出し画面には何件もの通知がひっきりなしに表示された。
悠 : 鶫くん、メモ見たよ。ごめんね。
悠 : どこにいるの。
悠 : お願い、連絡ください。
悠 : 〖📞不在着信〗
悠 : 心配してるからせめて連絡ちょうだい。
こんなにオレは悠を不安にさせてしまったんだ、そう思ったら申し訳なくて。また自分勝手な都合だけで悠を振り回してしまったんだなぁ…。
悠 : 鶫くんがいないと寂しいよ。
ごめん、俺のワガママです。
それでも連絡するのは帰る日にしようって決めていた。それ、なのに…。
兄 : 1回電話してやって。悠が昨日から寝てない。
兄さんからのたったこれだけでオレはすぐ、悠に電話をかけた。
「ごめんね、ちゃんと帰るから」
そんな短く不十分な言葉を伝えただけなのに、電話の向こうの悠は掠れた声で、
『うん、待ってる』
と安心と嬉しさを滲ませてくれたんだ。
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