テキストサイズ

僕ら二人

第1章 プロローグ

「オレそろそろ行くわ。朝練だし」

桂はこう見えても一応バスケ部に所属している。
「大変だな」
「まあな!」

桂は光彦の手をギュッと握った。

「これでも吸ってもっとシャンとした顔しろよ。ボヤーンとしてるぜ」

「ほっとけ」

桂はショートホープを1本テーブルに置いて行った。

光彦はマッチを擦って火を点けた。

「ぶはっ!ゴホ!うわ、きちー」


桂はダッシュでホタルに追いついた。

「おはよう!」

「あ、伊吹!おはよう」

「家こっちだっけ?」

「ううん。ちょっとね」

「ふーん。あのさ、今度遊び行っていいか?」

「うち?ダメだよ」

「なんで」

「散らかってるから」

「ふーん」

桂はホタルの額にかかった前髪あたりを見ていた。
可愛いなあ。女みたいだなあ…

「じ、ジロジロ見ないでよー」

「お、すまんすまん」

「そ、そう言えばこないだの試合勝ったね」

「まあ、実力だな〜」

「シュートキメた?」

「ま、一応な」

「一年生なのに、スゴイね!」

「そっか。まあ、実力だな〜」

桂は顔を赤くしてホタルの肩を抱き寄せた。

「ちょ、ちょっと。ね、ね?カバンないの?」

「え?あーっ!忘れた!」

桂は慌てて元来た道を引き返した。

「先、行ってるよー!」

ホタルはニコニコ顔で手を振った。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ