無表情の宇野くんA
第60章 阿保くん③。
阿保くんは普通の子だ。
普通というのは、電車に乗っていて、目の前におばあちゃんが乗ってきたら、席を譲ろうか譲らまいか悩んだ末に、「席どうぞ」とは言わずに、次の駅で降りる雰囲気を漂わせながら席を退くが、おばあちゃんがそこには座らず、近くにいた女子高生がスマホを見ながら座った時に、ちょっとした優越感と、ちょっとしたイラつきと、ちょっとどころではない気まずさを覚えるというようなことである。
そう、彼は普通なのだ。
普通の子だから、友達が多い。これは、友達がいない人をマイノリティーだとディスっている。
阿保くんの友達数人と話していたら、いつも彼が中間である。中間とは中間ということであり、彼が何事においてもどちらともつかない意見を持っている。
しかし、彼はどちらともつかない意見なので、何かを欲しいか欲しくないか、と問われ、はいといいえが二つに割れた時、彼はどちらともつかない答えしか出せないので欲しくあっても来ないし、来なくていい時も来ない。
高級メロンを一人だけ食べれなかった時は、さすがに凹んだ。
しかし、彼が普通なのだから仕方がない。彼が世界の中心で、彼が最も中立な意見を持っている人間なのだ。
今となってはいい思い出である。
普通というのは、電車に乗っていて、目の前におばあちゃんが乗ってきたら、席を譲ろうか譲らまいか悩んだ末に、「席どうぞ」とは言わずに、次の駅で降りる雰囲気を漂わせながら席を退くが、おばあちゃんがそこには座らず、近くにいた女子高生がスマホを見ながら座った時に、ちょっとした優越感と、ちょっとしたイラつきと、ちょっとどころではない気まずさを覚えるというようなことである。
そう、彼は普通なのだ。
普通の子だから、友達が多い。これは、友達がいない人をマイノリティーだとディスっている。
阿保くんの友達数人と話していたら、いつも彼が中間である。中間とは中間ということであり、彼が何事においてもどちらともつかない意見を持っている。
しかし、彼はどちらともつかない意見なので、何かを欲しいか欲しくないか、と問われ、はいといいえが二つに割れた時、彼はどちらともつかない答えしか出せないので欲しくあっても来ないし、来なくていい時も来ない。
高級メロンを一人だけ食べれなかった時は、さすがに凹んだ。
しかし、彼が普通なのだから仕方がない。彼が世界の中心で、彼が最も中立な意見を持っている人間なのだ。
今となってはいい思い出である。