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第5章 恋に気付く瞬間…(O×S)

大野「これはね?俺が見てた翔くんだよ」

櫻井『智くんが見てた?』

大野「そう。」
「俺が見てた……ううん…〝俺が見てる〟翔くん。」

櫻井『こう言ったら凄く上からに聞こえるかもだけど』
『上手いね…なんか…写真みたい……』

大野「全然上からなんて聞こえないから大丈夫」
「それに……翔くんが褒めてくれるなら嬉しいから。」

櫻井『でも俺こんなに綺麗じゃないっつーか…カッコよくないよ?』


スケッチブックのかなり美化された自分の絵を見る。


大野「綺麗だよ?それに…凄くカッコよくて…………」


「可愛い」


櫻井『えっ?』

大野「言ってるでしょ?」
「これは俺が見てる翔くんだって。俺には……翔くんがこう見えてるんだよ?」


思考回路が停止しそうになる言葉を投げた智くんの方に目を向けると智くんも俺の事を見ていて。


なんて反応をすれば正しいのか分からなくて顔をスケッチブックの方に戻そうとしたらゆっくりとこちらに体を向けて俺の方に近付いて来る智くん……


櫻井『さ、智くん?』

大野「……」

櫻井『ちょ、なに?!どうしたの?!』


問いかけても返事をしなくてただただこちらへ近付いてくる智くんに少しの恐怖を感じて衝動的に足が後ろにさがる

背中を向けることは何故だか出来なくて……
ひたすら距離を置きながら後ずさりを続けていると背中にトンっと当たる何か…………

間違えなく壁だけど。


櫻井『あ、あの〜?智くん?』

大野「翔くん…ごめん。」

櫻井『何が?……んんっ』


ジリジリと顔を近づけてくる智くんにもう一度話しかけるけどやっぱり返事は帰ってこなくて。

鼻と鼻が触れた瞬間に智くんはたった一言だけ…
「ごめん」と言って目を瞑った

何が?と問いかけたけどこれも返事は帰ってこなくてその代わりなのだろうか?唇に温かい何かが当たって……


…………って!当たって…………じゃないし!!


櫻井『んーん!!』

大野「痛っ…」

櫻井『あ、貴方、何してるの!!』

大野「…ご、ごめん、」


パッと我に帰った俺は慌てて智くんの肩を押した

力加減を間違えたのか智くんはよろけてさっきまでスケッチブックが置いてあった棚の角に肘をぶつけて………

それに関しては申し訳ないけど!

今はそれより俺の身に起こったことの方が大事だ!!

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