テキストサイズ

ひな*恋 ~それは、誰にも言えない秘密の三角関係

第4章 私の勝手な親切は空振りですか!

「ヒナちゃん、ずっとそこにいるけど、どうかしたの?」



1時間ぐらいのピークがようやく過ぎ、レジに立っていた田原さんがずっと突っ立っている私に声をかけてきた。


田原さんは兼業農家もしている30代後半のおばちゃん。

だけどスタッフの中じゃあ私の次には若いので、必然的に私に次いでレジ係だというわけだ。


若い子がレジに立った方がお客さんにウケるからって小山さんが言ってたけど。

それ、一概にそうだとは言えませんよ、副店長?



「もしかして、店長に用事?
呼んで来ようか?」


「あっ、違うんです!
ある人と待ち合わせてて、ここが待ち合わせ場所って言うか…」



単に借りた傘を返すだけだから、待ち合わせって言うほどの事じゃないかもしれない。


だって、「この間はありがとう」「はい、どうぞ」って返せば用事としては終わりだもんね。


時間にしてみれば、恐らく10秒で済むだろう。



…だけど、ここに来て既に1時間。


たった10秒の為に何やってるんだろうと思うけど、でも仕方ないよね。

休みなのを確認しないで約束しちゃったのは、私なんだから。

ストーリーメニュー

TOPTOPへ