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ひな*恋 ~それは、誰にも言えない秘密の三角関係

第5章 私だって美味しいものは作りたいんです!

さすが花金と呼ばれるだけある夜の惣菜屋さん。

主婦の人たちでパカパカ売れていくだけじゃなく、その後の仕事上がりの独身者たちも、いつもより利用数が多いみたいだ。


みんなやっぱり、こういう日は自炊をサボって楽したいんだろうなぁ。



「はい、いつものね。
よかったぁ、残ってて」


「あ、こんばんはー。
ありがとうございます」



そんな中、毎日手羽やゲソの唐揚げなど、同じようなものを買う人だっている。

別に私は訊いてはないんだけど、勝手に本人曰わく「仕事から帰ってテレビを見ながらビールのつまみにするから」だそうだ。




「はい、ご用意できましたー。
今日もお疲れさまでした、お気を付けてー」


「ありがとっ」



惣菜を包んだレジ袋を受け取ると、そのお客さんは機嫌よく帰って行った。


本当は「お疲れさまでした」だなんて馴れ馴れしいかなと思ってるんだけどね。

でも小山さんが言うには「ああいうお客さんは、そんな一言があるだけで嬉しいものよ」との事で、以来私も相手を見ながらそう言うようになったのだ。


もちろん、余計な事は言わない方がいいパターンもあるのでこの限りではないんだけどね。


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