【参加型小説・連鎖の尻尾】
第11章 銅玄
一瞬静まり返った客間だったが、お代わりの漬物とお茶を持ってきた住職の奥さんにその場の雰囲気が和んだ。
「そう言えば、ここの地域の歴史を調べたいっていってましたね、資料は足りているの?あなた」
「いやいや、歴史じゃなくて人物を探しているみたいなんだ」
住職にお茶を差し出した奥さんが「あら、歴史上の人物かしら?」と、言ったことで、住職は手元の資料の他に歴代の住職名の書いてある書物を出してきた。
「“銅玄”の“どう”が…“銅”ってのは珍しいですね…私どもの住職の中には…そんな名前のものは……遡っても見当たらない…」
住職は古い書物をめくりながらため息をつく。
「あの~…ここのお寺って――――長いんですか?」
1つの書物を見ていた煌太が住職に聞く。
「そうですね――――長いと思います…歴史があるか…と、聞かれたら微妙なところですが」
「微妙な…ところ?」
住職の言い方に気になり高田が聞き返す。